結論:PVC(塩ビ)・塩ビ系の合皮・ビニル・ABS・ポリカーボネート・PTFE(テフロン)・POM(デルリン)・HDPE/PP・発泡スチロール・「難燃」表記の素材・クロムなめし革は、レーザーで加工してはいけません。塩素ガスやシアン化水素などの有毒ガス・発火・機械の腐食を起こすためです。特にPVCは塩素ガスでレーザー本体まで傷めます。素材が不明なときは加工しないでください。
レーザー加工で本当に怖いのは「切れない・焦げる」ではなく、素材が燃えて出す煙(ガス)と発火です。プラスチックや合成素材には、レーザーの熱で分解すると人体に有害なガスを出すものがあります。換気していても、塩素ガスのように機械の金属部分や集塵機を錆びさせるものもあり、一度使うと機械の寿命を縮めます。だから「設定」より先に、その素材を切っていいかどうかを必ず確認します。
以下は、大学のものづくりラボや図書館の工作スペースが「絶対に使用禁止」として公表している代表的な素材です。
| 素材 | 出る有害物・危険 | 結果 |
|---|---|---|
| PVC・塩ビ・ビニル | 塩素ガス(水分と反応して塩酸になる) | 有毒+機械を腐食。最重要禁止 |
| 塩ビ系の合皮(人工皮革) | 多くがPVC製=塩素ガス | 有毒。本革と取り違え注意 |
| ABS樹脂 | シアン化水素(HCN)・着火しやすい | 有毒+火災リスク |
| ポリカーボネート(Lexan) | 燃える・黄変・有毒蒸気 | 火災+仕上がり不良 |
| PTFE(テフロン) | フッ素系の有害ガス | 有毒 |
| POM(デルリン) | ホルムアルデヒド(発がん性) | 有毒+深い溝で火災リスク |
| HDPE・PP・ポリエチレン | 溶けて燃える | 溶融樹脂が滴下し着火=火災 |
| 発泡スチロール/PS | 引火(火災の最多原因の一つ)+ベンゼン | 炎上。laser-safeフォームを除く |
| グラスファイバー(FRP)・炭素繊維 | 有害微粒子+樹脂由来の有毒ガス | 有毒 |
| 「難燃」表記の素材 | 臭素系の有害ガスが多い | 有毒 |
| クロムなめし革・色付き革 | クロム由来の有害蒸気 | 有毒。切れるのはヌメ革のみ |
| 金属(小型機) | レーザーを反射 | 機械の光学系を損傷 |
禁止素材は「見た目では分からない」ものが多く、ここで事故が起きます。
判断に迷ったら、材質表示を確認し、不明なら加工しないのが鉄則です。「燃やすと何が出るか分からない素材」は切らない、と決めておくと安全です。
逆に、家庭用レーザーでよく使われる「切ってよい」代表素材は次のとおりです。
| 素材 | メモ |
|---|---|
| 木材・シナ/バスウッド合板 | 定番。MDFより安心(無垢・接着剤少なめを選ぶ) |
| 色付き・不透明アクリル | ダイオードはこれ。透明アクリルはCO2のみ |
| ヌメ革(ベジタブルタンニン) | クロムなめし・色付きは不可 |
| 紙・厚紙・段ボール | 低出力・高速で。焦げに注意 |
| コルク・MDF(換気必須) | MDFはホルムアルデヒドに注意 |
Q. 換気扇を回せばPVCを切ってもいい?
A. いけません。換気しても塩素ガスは有害で、しかもレーザー本体・集塵機の金属を腐食させます。PVC(塩ビ)と塩ビ製の合皮は、量に関わらず加工禁止です。
Q. 合皮(フェイクレザー)はレーザーで切れる?
A. 多くがPVC製のため切ってはいけません。塩素ガスが出ます。レーザーで安全に切れる革は、ベジタブルタンニンなめしの「ヌメ革」だけと考えてください。クロムなめし・色付き革も有害蒸気が出ます。
Q. 素材の種類が分からないときは?
A. 加工しないでください。特にプラスチックは見た目で材質を判別できません。材質表示を確認し、不明・「難燃」表記のものは避けるのが安全です。
Q. MDFは切っても大丈夫?
A. 切れますが、接着剤からホルムアルデヒド(発がん性)が出るため、強い換気が必須です。可能なら無垢材やシナ合板を選ぶ方が安心です。