レーザーで切れない・焦げる原因と設定の直し方

最終更新:2026年6月7日 ・ 対象:xTool等のダイオード/CO2レーザーを使う方

切れないときは「①出力を上げる ②速度を下げる ③パス回数を増やす ④焦点を合わせ直す ⑤エアアシストを使う」の順で調整します。焦げる・溶けるときは逆に「出力を下げる・速度を上げる・エアアシスト・マスキング」。どの数値もメーカー値はあくまで出発点なので、必ず端材で試し切りをして詰めます。この記事は、原因の切り分けと直す順番を整理します。

この記事の内容
  1. 切れ味を決める3要素:出力・速度・パス
  2. 「切れない」ときの直し方(順番)
  3. 「焦げる・溶ける」ときの直し方
  4. 透明アクリルがダイオードで切れない理由
  5. 別のW数の機種へ設定を移すコツ
  6. よくある質問

切れ味を決める3要素:出力・速度・パス

レーザーの結果は、基本的にこの3つの組み合わせで決まります。考え方は「素材にどれだけのエネルギーを入れるか」です。

要素強くすると使いどころ
出力(%・W)切れ込みが深くなる/焦げやすい厚物・硬い素材
速度(mm/s)速いほど浅い/焦げにくい薄物・彫刻・焦げ防止
パス回数同じ場所を複数回なぞる=深く1回で切れない厚物

1mmあたりに入るエネルギー(線エネルギー密度)は、ざっくり 出力 ÷ 速度 に比例します。つまり「出力を上げる」と「速度を下げる」は同じ方向(深く切る)の操作です。厚くて1回で切れないときは、出力を上げすぎる前にパスを増やすと、焦げを抑えながら切り抜けます。

「切れない」ときの直し方(順番)

いきなり出力を最大にせず、次の順で1つずつ変えて試し切りします。

やることねらい
1速度を1〜2割下げる同じ場所に長く当てる=深く
2パスを1回増やす焦げを抑えて深さを稼ぐ
3出力を上げる(上限近くは避ける)エネルギー追加。ただし焦げ注意
4焦点(フォーカス)を合わせ直すピントずれは切れない最大要因
5エアアシストを使う/強める煙・燃えカスを飛ばし切り込みUP

特に見落としがちなのが④焦点です。素材の厚みが変わったのにフォーカスを合わせ直していないと、出力を上げても切れません。CO2機では、焦点を板厚の中ほどに置くと厚物が切りやすくなります。

💡 「あと少しで切れない(裏が一部つながる)」ときは、出力を上げるよりパスを1回追加速度を1割落とすのが、焦げを増やさずに済みます。

「焦げる・溶ける・煙が多い」ときの直し方

切れてはいるが断面が真っ黒、表面が焦げる——これはエネルギーの入れすぎか、煙の滞留が原因です。

木材は素材によってヤニの出方が大きく違います。シナ・バスウッドは比較的きれいに切れ、脂分の多い木は焦げやすい傾向です。

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ダイオード/CO2・機種のW数・素材・厚み・切断/彫刻を選ぶと、「出力%・速度(mm/s と mm/min)・パス回数・カーフ」の目安を表示。別のW数機への設定換算もできます。すべて試し切り前提の出発点として使えます。
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透明アクリルがダイオードで切れない理由

「設定は合っているのに透明アクリルだけ切れない」——これは設定の問題ではありません。ダイオードレーザー(青色・約450nm)は透明アクリルを“素通り”してしまい、エネルギーが吸収されないからです。出力を上げても切れません。

切りたいもの使うレーザー
透明アクリルCO2(10,600nm)のみ。鏡面で切れる
黒・不透明の色付きアクリルダイオードでもOK(顔料が光を吸収)

つまりダイオード機で透明アクリルを切る方法は基本的にありません(裏に塗装する等の裏技はありますが安定しません)。透明を切りたいならCO2機を使います。

別のW数の機種へ設定を移すコツ(W数換算)

「10Wの設定を20W機で使いたい」ときは、1mmあたりのエネルギー(出力÷速度)を同じに保つと近い切れ味になります。出力%を同じにするなら、速度をW数の比だけ変えます。

新しい速度 = 元の速度 ×(新しい定格W ÷ 元の定格W)

例:10W機で10mm/sの設定 → 20W機なら 10×(20÷10)=20mm/s から試します。注意点は2つ。① 同じ波長どうし(ダイオード同士・CO2同士)でのみ有効で、ダイオード↔CO2は素材の吸収率が違うので換算できません。② W差が2倍以上や厚物ではズレやすいので、必ず試し切りで微調整します。この計算は下のツールでも自動でできます。

よくある質問

Q. 出力を最大にしているのに切れません。

A. まず焦点(フォーカス)を疑ってください。厚みが変わったのに合わせ直していないと切れません。次に速度を落とす・パスを増やす・エアアシストを使う、の順で。最大出力の常用は管・素子の寿命を縮めるので避けます。

Q. 断面が真っ黒に焦げます。

A. エネルギーの入れすぎです。出力を下げて速度を上げ、エアアシストで煙を飛ばします。表面の焦げはマスキングテープを貼ると防げます。パスが多すぎる場合は減らします。

Q. 透明アクリルがどうしても切れません。

A. ダイオードレーザー(450nm)は透明アクリルを透過するため、設定に関係なく切れません。透明を切るにはCO2レーザー(10,600nm)が必要です。ダイオードでは黒・不透明の色付きアクリルを使ってください。

Q. メーカーの推奨設定どおりでも切れ味が違います。

A. 設定値は出発点です。同じ機種でも素材のロット・含水率・機械の状態で結果が変わります。必ず端材で試し切りをして、その個体・素材に合わせて詰めてください。